発音に注意!フランス語由来のドイツ語単語
英語もそうですが、ドイツ語というのは歴史的に、フランス語の影響を強く受けており、多くの単語を輸入しています。あらゆる外国語の単語をカタカナで自言語化してしまう日本語とは異なり、ドイツ語は輸入元の発音を維持しようとする傾向があります。
フランス語の発音はドイツ語とかなり違います。ドイツ語は子音が連続してもすべて発音し、一単語一単語順番に発音しますが、一方フランス語は、子音が頻繁に飛び、単語同士がしょっちゅう連結されます。これだけ発音の違うものでも、ドイツ語話者はなるべくフランス語っぽく発音します。誤読を防ぐという意味で、そして少しでもドイツ語ブログっぽさを出すために、主なフランス語由来の単語を適当に挙げます。
※意味の右の()内には、よく見かける同義・類義語を入れています。
die Orange オレンジ 無理やりカタカナにするとしたら「オホ~"ンジェ」。フランス語は最後のeは発音しませんが、ドイツ語のささやかな抵抗か、発音するようです。(人による)「ホ」と書いていますがこれはドイツ語のRの発音のような感じで、喉から出す音です。ドイツ語の方がうがい感が強く、フランス語のは鼻にかかった感じが強いです。
die Chance 機会(Gelegenheit)「ショーンセ」「ショーンス」こちらもフランス語ではeは発音しませんが、ドイツ語は発音したりしなかったり。
das Budget 予算 「ビュジェー」英語だと「バジェット」ですね。
das Engagement 社会・団体・運動への参与、雇用、従事 サルトルの哲学用語で「アンガジュマン」とよく言われますが、実際の発音は「オンガジュモーン」に近いです。
(sich4)engagieren 社会・活動・政治に関与する・貢献する 「アンガジーレン」「オンガジーレン」って感じです。
die Recherche 調査・研究(Untersuchung, Forschung) もとは「ルシェルシュ」って感じですが、ドイツ語っぽさを出すと「レシェルシェ」
recherchieren (untersuchen, forschen)調査する 「レシェルシーレン」って感じ。「ル」はほぼ発音しません。
die Saison シーズン・旬 「ゼゾン」フランス語では普通に季節(Jahreszeit)の意味で使われます。発音は「セゾン」
das Faible 好み・贔屓 「フェーブル」ein Faible für etw4 habenで「~が好き、目がない」aiの綴り自体ドイツ語にはほとんど存在しません。
der Friseur/die Friseuse 理髪師・美容師 「フリゼゥ―ア」「フリゼゥーズ」euはドイツ語では普通「オイ」の音になりますが、フランス語ではオーウムラウトのような発音になります。女性形が*FriseurinではなくFriseuseになるのは、フランス語の女性形の作り方をそのまま使っているからです。しかし…
der Regisseur/die Regisseurin 映画監督 「レジッセゥーア」こいつは普通にドイツ語風の女性形。ふざけんな。
der Passagier/die Passagierin 乗客(Fahrgast)「パサジーア」英語のpassengerです。
das Restaurant レストラン 「レストローン」のような発音。
speziell 特別な 特に(besonders)「シュペツィエル」フランス語由来の形容詞にありがちなのが「ell」。英語の「al」です。他にもindividuell、materiell、kulturellなど多くあります。
書きながら「これキリないな」って思ってしまいました。ラテン語起源とかギリシア語起源ならまだ少ないだろうけど。いちいち単語を調べてフランス語由来か確認しなくとも、「フランス語っぽさ」がわかってくると思います。
ある程度見分け方的なモノ。
・-ment 英語だと「メント」ですが、だいたい↑のEngagementの発音です。
・母音を伴うch 例外はありますが、大抵フランス語由来で、「∫」シャ行の音。なお、ギリシャ語由来の場合もあり、こちらはkの音。(z.B. Charakter, Chaos)
※schやtschは普通にドイツ語発音です。
・-ant -ent この部分にアクセントがあるとだいたいフランス語由来。(z.B. Passant, charmant, interessant)
・-ell -al ここにアクセント。(z.B. speziellのとこの例、national, egal)
他にもいろいろありますが、代表的なのはこのへん?