Goethe Zertifikat C1 合格レポート
まず、半年ぶりの更新になります。2月にGoethe ZertifikatのC1を受験し合格したにもかかわらず、全く記事を書いていませんでした。理由としてはやはり、コロナ禍により留学が絶望的になり、語学全体へのモチベーションが大きく低下していたからです。知人がGoetheを受けて結果が出たという話をしていて、ようやくこのブログの存在を思い出しました。
◇試験概要
・A1-C2の6段階の中では上から2番目
・読む、聞く、書く、話すの4技能
・それぞれの試験にいくつかの採点基準があり、25点満点
・スコアとしては25点満点を4倍したものが出る
合格に必要な条件は、「読む・聞く・書くで総合6割以上」+「話すで6割以上」になります。つまり、3つの筆記試験については、どれかが6割を切っていても、全体の平均が6割あれば合格です。2つの条件の片方しか満たしていない場合、「部分合格」となり、1年以内に1回だけ部分再受験が可能です。これが意味するところは、「3つの筆記試験でどれかが足を引っ張ると3つとも受け直し」です。口頭試験だけ落ちた場合、そこだけ受ければOKです。
Goethe-Zertifikat C1 - Goethe-Institut Japan
↑ページの最下部に練習問題(無料)。解答や採点基準もちゃんと書かれています。
◇読む Lesen
大問は3つ。2つの文章を参照しての空所補充(記述式)、複数の文章からテーマに沿った内容を抜き出し、文章の空所補充(選択式)になります。空所補充が多く、楽に感じるかもしれませんが、実際私は楽に感じました(笑)。内容をしっかり読み込まなくても解ける問題が多いです。もちろん裏を返せば、「知らなければ解けない」ものも増えてくるわけですが。
①記述空所補充
空所のある文章と、その内容をまとめた文章が用意され、まとめを手がかりに空所を埋めていく形です。多くはまとめに書かれている語を、品詞・時制等をいじって書くだけですが、klettの問題集を見る限り、必ずしもまとめに答えとなる語が直接載っているわけではないようです。私は「どうしても該当する語がわからない場合」自分で考えて答えを書きました。
②文章から抜き出し
複数のテーマと文章が用意されていて、合致するものを結び付けるもの。これだけ見るとB2にも同じようなものがありましたが、C1ではさらに、文章の中の具体的にどの箇所が該当するのか、まで答える必要があります。丸写しでなく、箇所を特定したうえで、短くまとめ直すことも求められますが、まあこれはC1レベルの学習者には問題ないと思います。
③選択空所補充
ほとんどただの単語・文法クイズです。多少文脈を考える必要はありますが、それほどじっくり読まなくても解けます。②でおそらくかなり時間がかかるので、ここは素早く処理したいところ。
語彙レベルは印象として、独検準1級と同等かそれ以上、1級よりは確実に易しいレベルでした。C2の問題にもチャレンジしたことがありますが、1級はC2ぐらいか、下手するとそれ以上です(あくまで文章レベルの話)。
空所補充については、独検対策が割と有効に思えます。Nominalisierungなどの品詞を変える問題については準1級で出題されますし、特定の動詞・前置詞の結びつきなどは1級にも出ます。
◇聞く Hören
大問は2つ。少ないから楽と捉えるか、苦手なものが出たら痛いと捉えるか。形式は一つ目がディクテーション風味、二つ目はB2までにも出てきた内容一致選択問題です。
①ディクテーション風味(音声:1回)
ディクテーションといっても、独検2級に出るような「そのまんま穴埋め」ではなく、求められている情報を聞き取って短くまとめる形式です。例として、「料金」と書かれていてそこに「○○ユーロ」と書いたり、「平日の対応」と書かれていて「仕事があるので無理」と答えたりといった形。答えになる部分は割と素直に流れてきます。上方が散らばっていたり、遠回しな言い方をしていたりということは、問題集や本番を解く上ではありませんでした。
②内容一致(音声:2回※)
特に言うことなし。普通の内容一致です。2回流されると書きましたが、2回目は音声全部ではなく、問題に関係する部分が分けて流されます。例えば、
1回目:音声全体
2回目:問題11-13に関する部分→14-16→17-18→19-20といった具合です。今から流すところに問題の答えがあるよ、と教えてくれているようなものなので、むしろ易しいぐらいですね。①は1回しか流れず、どうしても肝心な部分を聞き逃すと点が取れないので、こっちでちゃんと点を稼いでね、ってことでしょうか。
◇書く Schreiben
大問2つ。統計のデータを踏まえた意見文と、またまた穴埋め。穴埋め多いですよね。
①意見文(200語以上)
テーマを2つから選び、図表等の与えられたデータを踏まえつつ、自身の意見を述べる形式。データの中でも特に目立って高い数値・低い数値に着目し、わかりやすい話を展開していくことが重要だと思います。こういう試験では何にでもいえることですが、「本音をそのまま書くのではなく書きやすい内容を書く」方が有利です。
②記述空所補充
これは、同じ内容について、異なる2人に宛てたメールが提示されます。「クレームのメール」+「クレームの内容について友達に愚痴ったメール」のような感じです。片方に空所があり、もう片方の情報をヒントに補充していきます。Lesenの①に近いですが、それに比べると答えが直接書かれておらず、どちらかというと文法や定型表現の知識が重要です。Schreibenなので当たり前といえば当たり前ですが。
◇話す Sprechen
大問2つ。受験者同士でペアを組むのはC1が最後で、C2は試験監督とのワークになります。まだ受けたことがないのでわかりませんが、ペアの方が緊張してしどろもどろになって何を言っているかわからない、自分の拙い発話が相手に通じず停滞する、といったことがなくなるのは安心かもしれません。聞き返せばいいのですが、聞き返せば必ず通じるかというと、そうでもない。話し手の「これなら通じるだろう」のラインと、聞き手に「通じる」ラインは違うので。
①プレゼン(いつもの)
B1ぐらいからずっとやってね?なプレゼン。B2までと違うのは、テーマが固定なこと。選べません。どんなにわけのわからないテーマでも、なんとか語彙をひねり出す必要があります。ただ、やっぱり語学試験なので、当たり障りのない内容でも作り話でもいいからとにかく「話す」ことが重要だと思います。私は緊張して「次何話すんだっけ…」となった時、その前にしていた話を雑に引き延ばして「まだ喋れるぞ!」とアピールしました。でも、こういう引き伸ばしというか間繋ぎって、母語でも結構していると思うんです。
②ディスカッション
B2はほとんど一方通行的に意見を言うだけでしたが、C1では合意形成の必要があります。提示されたいくつかの選択肢から、1つあるいは複数を選び、「私たちはこれを採用しました!」と宣言して終了。時間がギリギリになると試験監督から「そろそろ結論出してください」と指示がありました。
Sprechenは9割以上の得点でしたので、一応言っても大丈夫かな?と思うのは、とにかく「試験内容よりも話せることを示す方が重要」だということです。記事の最初に紹介したリンクから見られる練習問題に採点基準が載っていますが、ほとんどがドイツ語力そのものに関するもので、試験内容に直結しそうなのは1項目だけ。一つ目のErfüllung der Aufgabenstellungですね。
◇さいごに
C1まで受けてきて、日本の大学受験英語と逆行しているような印象を受けました。受験英語の場合、まず単語や文法をがっちり固め、そこから読解に進んでいきます。問題としても、難易度が高い大学ほど知識問題が減り、内容問題が増えてくる印象です。一方Goetheは、まず簡単な読解から始まり、C1に来てようやく知識問題・文法問題がガッツリ入ってきました。
年に一回しか受けられないということで、独検1級の方に力を入れていましたが、そのおかげでC1の文章は難なく読めましたし、知識問題にも対応できました。次はとうとうC2ですが、いつ受けることになるのやら。Sprechen以外は余裕を持って合格できたとはいえない出来でしたので、また修行の日々ですな。