独検1級・準1級 受験から合格まで
またまた久々のブログ更新になります。それこそ独検の一次試験合格通知以来ですな。今回は無事独検の準1級・1級に合格したということで、改めて総合的なお話をしたいと思います。単なる思い出話とか、俺TUEEEみたいな話はなるべく避け、これから受験する人が少しでも本番をイメージできるような記事にしたい。
1. 出願から試験まで
独検は夏と冬に開催されますが、準1級・1級は冬にしか受験できません。また、併願が可能ですが、これは隣り合う級だけなので、2級&準1級か、準1級&1級になります。勿論単願でも。
一次試験は12月の頭に行われました。コロナ対策ということで、某大学のかなり広い講義室で、窓を全開にしての実施でした。防寒対策を舐めていたので、震えていました。1級はかなり受験者が少なかったです。例年全国で300人程度しか受けませんから、一つの受験会場にはほとんどいないですね。
クリスマスぐらいに、一次試験の合格通知が来ました。ちっちゃい封筒だったのでびっくりしましたが、よく考えたらまだ二次試験が終わっていないから、証書が来るわけないですね。
二次試験は1月の末。試験会場は同じ大学でした。教室は違いましたけど。自分の通っていない大学で行動するのって、めっちゃ難易度高くないですか?1級は午前、準1級は午後から。控室で待機、順番が指定され、その順番が来ると試験室に呼ばれました。このへんはすごく流動的だったので、助かりました。そこで口頭試験。詳しい内容は後述。なお、この試験は二次試験よりも一次試験で落ちる人が圧倒的に多く、控室には10人もいなかった気がします。
そして、今日試験結果が届いたわけです。これまた封筒がちっちゃくて、「あれ、落ちた?」と思ったのですが、証書が小さかっただけでした。2級まではA4ぐらいのサイズだったはずなんですけど、準1級・1級はハガキサイズ。
2. 一次試験内容
5級から1級まで、時間制限はそれほど厳しくないと思います。Goetheの試験に比べれば、余裕はある方。それでも、1級は問題がかなり難しく、結構ギリギリまで解いていました。
準1にしろ1にしろ、知識問題が辛い。機能動詞や話法詞、慣用表現などを問うてくるのですが、知らないものが出るとどうしようもないですからね。1級は特に辛かった。部分的には見たことがあるのに、少し形が違ったり。
文章のレベルは、準1級だとB2ぐらいかなぁ。そのへんのニュース・ブログ記事とか、有名人のツイートとか、日頃目にする程度のドイツ語が概ね理解できれば足りると思います。1級はエグイ。FAZとかSZみたいな、ハイレベルな新聞でも、そんなに頻繁には見かけないぐらいの難しい文章がバンバン出ます。C1超えてそう。FAZは無料アプリで記事が沢山読めるのでおすすめです。しかもねぇ、この文章で、穴埋めやら類義文選択やら内容一致やら、とにかくいろいろやらせてくるんですよ。読むだけで精一杯だっつーの。
Aktuelle Nachrichten online - FAZ.NET
また、1級限定で、和訳問題と独訳問題が一問ずつ出ます。和訳は長文の中に挿入される形ですが、これまた難しい。日本語でも知らねーよってレベルの内容がちらほら。ドイツ語の屈折・曲用のおかげで、構造は理解できるのですが、内容がわからなすぎて訳しにくい。独訳は大問として独立しており、与えられた短めの文章を訳す。こちらは文章自体は難しくないです。さすがに。難関大学の英訳問題とか、まさにこんな感じじゃないかな。
3. 二次試験内容
試験官は日本人1人+ドイツ語ネイティブ1人。コロナ対策ということで、彼らはマスク+フェイスシールド着用、私もマスク着用で、結構距離を離しての試験になりました。声は聞き取れますが、この状況じゃなければもっと聞き取りやすかっただろうな、とは思います。聞き返しても減点はされませんと、試験官の方から直々にご助言いただきました。また、私がとった手段として、「質問内容を確認する」というのもやりましたが、それはどうなんでしょう?まあでも、コミュニケーションとしては正しいはずなので、噛み合わないまま話し続けるより良いと思います。
準1級は、いわゆるBildbeschreibungがメイン。最初に少し自己紹介をして、そこから写真のカードが3枚渡されました。私も勘違いしていたのですが、これは任意のカードを選べるわけではなく、伏せた状態でランダムに選ばされました。自分のやりやすそうなものを選べるわけではないようです。カラー写真です。
私は準1級の対策が甘かったので、想像以上にしどろもどろになってしまいました。写真は花屋さん(Blumenladen)でしたが、まずBlumenladenが出てこなかった(笑)そして、辛うじて重箱の隅をつつくような内容を無理やり喋り、4~5点話したところで試験官から質問。写真について、というよりは私が喋った内容についてでした。「花を人にあげたり、人からもらったりすることある?」とか。Ja/Neinだけでなく、軽く説明を述べて、次の質問へ。5つぐらい質問があって、ちゃんと答えられたのは2問ぐらい…(笑)描写の時点で結構ヘマをしてしまい、試験官の質問に集中できずあまり聞き取れなかった。グダグダでした。試験官の表情から、私の回答にあまり納得していない感じが伝わってきました。公式問題集なんかには載っていませんが、二次試験は40点満点です。私はかなりギリギリの得点でした。(最低点は24/40)
続いて1級、といっても時間的にはこっちが先ですが。こちらはMeinung äußern、軽く意見を述べて、それに関して試験官の質問に答えます。テーマは4つ提示されましたが、各テーマに概要が書かれていて、そこから選べ!という形式。テーマはなんだったかな。政治家の高齢化とか、在宅ワークとか、結構タイムリーな話題でした。とりあえず「○○していくべきだ!」という結論を述べて、そこからメリットを2,3つ。譲歩的にデメリットも喋りました。こっちはやっぱり自分の馴染みのあるテーマを選べたこともあり、質問には答えやすかったです。準1級もそうですが、専ら自身の経験に対する質問が多かったので、知識があるとかないとかよりも、身近なテーマにしておいた方が安全だと思いました。作り話でいいんですけど、どうしても内容が薄くなってしまいますからね。準1級同様40点満点ですが、最低点はこっちの方が高かった。点数はまたまたギリギリ…といっても最低点が高いのでギリギリじゃない人の方が少ないとは思います。運転免許試験だったら92点でもギリギリって言えますからね。(最低点は32/40)
ちなみに、そういう風に指定されているのかもしれませんが、明らかに的外れな回答をしても、そこまで試験官は反応されません。しっかり答えられれば、大きく頷いてくださいましたが、クソみたいな返答をしても「ふ〜ん」って反応をされるので、自分が間違ったことを喋っていても教えてくれない、ということでしょう。試験ですからね。当たり前なんですけど。
ついでに、1級については、喋り始める前にテーマ一覧が回収され、それから「どのテーマにしましたか?」と聞かれました。そのため、選んだテーマを一言で言い表せるように準備しておくべきでしょう。「Ich habe das Thema „Plastiktüte“ ausgewählt.」とか。紙を直接指差して「これにしました」みたいな感じはできなさそう。
4. 参考書
うっすーい本ですが、内容は充実しています。機能動詞、話法詞、心態詞、相関詞などといったテーマごとに例題が用意されています。そして、数章ごとに練習問題がついていて、模擬試験も1題あります。
手早く全体的な知識をつけるのには有用ですが、網羅性は乏しく、二次試験対策もちょっとしたアドバイスしかありません。どちらかというと、この本を起点に、普段の学習方針を形作っていくというイメージです。学習に役立つ文献なども載っているので、とりあえずこの一冊から始めてみる!みたいな。
これも、章ごとに進めていく形。「問題集」とありますが、模擬問題を集めたようなものではありません。この本で特筆すべきは、二次試験対策と語彙集です。Bildbeschreibungについては残念ながら言及がありませんが、その前の自己紹介フェーズについては、音声付きで練習ができるようになっています。語彙集は、同じパーツを持つ語(einstellen、anstellen、herstellenとか)が並べられていて、簡単に意味を把握できるようになっています。辞書のように詳しくはないし、例文もないのですが、一語一訳でも覚えておくだけで助けになると思います。また、1級にも使える慣用表現や諺も載っていて、試験直前はこればっかり見ていました。
この本については、つまみ食いをした形なので、多くは語れません。二次試験対策が充実しています。また、巻末の表現集も便利。例文がついているのが長所ですが、量は少なめ。
1級用の参考書が本当にないです。上に挙げた二冊も、1級版が存在しません。この本のいいところは、各章ごとに準1級・1級パートに分かれている点です。まあ、この本をわざわざやる人は1級を目指している人が多いでしょうから、いずれにせよ全部やることになるとは思います。二次試験については、解答例の音声が収録されていて、参考になります。1級で過去に出題されたテーマも載っていて嬉しい。機能動詞もまとめてリストアップされています。欠点としては、模擬試験がないことぐらいかな。
最後に過去問。2020〜2015ぐらいまでやりました。配点や大まかな採点基準も載っていて、一度は見ておきたい代物。ただこれが高いんですよね〜。一年分で4000円近くする。私は一冊以外は大学で借りました。中古も高い。
5. 参考書以外の対策
一次試験の時の記事に書きましたが、私は対策の仕方を間違えたと思っています。一年分解いた時の印象で知識ゲーだと思い込み、知識の詰め込みばかりしていました。ですが、実際には長文で稼いだ方が点になるので、難しい文章を読み慣れることこそが合格の鍵になります。これについては、先に述べましたが、FAZのような新聞を推奨。それまで私は他の言語の勉強もできるという理由でeuronewsを愛用していましたが、1級レベルでは厳しいです。
独訳はちょっとだけネイティブに見てもらいました。あくまでドイツ語として正しいか、だけになってしまいますが。HelloTalkというアプリで学習言語をドイツ語に設定して、「この文章正しいですか」って感じでタイムラインに投稿すれば、すぐに添削してもらえます。フォロー外からでも普通に見てもらえるようになっているので、始めたばかりでもKein Problem。
二次試験は、ひたすらいろいろなテーマについて意見を述べる練習をしました。環境問題、労働、教育、語学、政治、健康といったありがちなテーマで「Pro Contra(賛否)」をつけて検索をかければ、いくらでも見つかります。
z.B. Plastiktüte pro contra, Englischsprachige Studiengänge pro contra, Gebühren pro contra usw.
ちなみに、これは過去問をやればわかることですが、テーマとしては日本のもの、日本とドイツの比較が結構多いです。この点は楽といえるでしょう。Goetheは日本人にあまり馴染みのないテーマが割と多いですからね。
6. 受験前の私の疑問とその答え
受験前に私が抱いていた疑問と、実際に受けてみてわかった答えを適当に載せます。FAQ的な意味で。
Q. 試験官はゆっくり喋ってくれるのか?
A. 手加減はしているが、まあまあ普通の速さ。インタビューとかニュースぐらい?聞き返すとちょっとゆっくり喋ってくれる。
Q. 日本人試験官は何かするのか?
A. 試験には参加されなかった。入室時の案内と、試験説明だけ。
Q. 一次試験と二次試験の結果で総合的に判定、って何?
A. わからない。二次試験の得点だけ送られてきて、一次試験との合算などは書かれていない。1級は一次試験も二次試験も合格点スレスレだったから、基本的には両方最低点を超えれば受かるのでは?
Q. 受験者層は?
A. 準1級は大学生っぽい人が圧倒的に多い。それ以上の人もちらほら。1級は一次試験時点でも、自分以外は若くみて40代以上だった。
Q. ドイツ語力以外も必要なのでは?
A. それはそう。内容が高度なので、日本語でも理解に苦しむ場合がある。ただ、全問解く必要はないと考えれば気にすることではない。1級の独訳は、大学入試の英語で英訳をしっかり勉強したかどうかで結構変わってきそう。
Q. 留学必要じゃない?
A. 必要ではなかった。リスニングはリーディングに比べればかなり易しい。ただ、スピーキングは結構間髪入れずグイグイ質問してくるので、割と大変だった。
Q. リスニング聞き取りにくくない?
A. Goethe B2の時もそうだったけど、コロナ対策で教室がかなり広いので、オーディオから遠くて聞き取りにくい。また、同様の理由で窓全開なので、雑音も多かった。
7. さいごに
独検の1級に関する情報は、本でもネットでもなかなか手に入れにくいものでした。その中で、このブログが少しでも参考になればと思います。